日別アーカイブ: 2010年5月10日

米国で大人気の日本文化、そして広がる海賊版。

この記事では「米国で大人気の日本文化とそして広がる海賊版」について紹介します。

New York Cityを訪問して感じたのは日本の文化が大人気だということです。その人気は私が当初想像していた以上のものでした。例えば、BordersやBarnes&Nobleといった米国の大型書店にも漫画専用の大きな棚が設置されていて、多くの人達が立ち読み&座り読みしていました。「米国の書店に日本の漫画専用の棚が設置されている」、これは日本にいると当たり前すぎて何も感じないかもしれない。でも、実はかなりすごいことです。極東の島国の文化が米国の書店の一角を占有しているのですから。他の国の文化で日本のマンガに相当する人気があるものを私は知りません。

マンガ以外でも、アニメやゲーム、日本の若者文化、そして時には日本のドラマも人気があります。そしてまた、これらの日本文化が好きな米国人はきわめて親日的です。私が仲良くなった米国人達も多くが日本の文化が大好きで親日的になった人達です。そしてそんな日本文化が好きで好きで仕方がない人達の中には、日本語を学び始める人達も出てきます。彼らが日本語を学ぶ動機は「日本の作品をもっと理解したい、そしで出来れば日本語のままで理解したい」というものです。一方、私が英語を学んでいる理由は突き詰めると「お金になるから」という極めて実用的な目的です。だから私は米国映画や小説、TV番組にほとんど興味がないです。彼らが日本語を学ぶ動機とは全く対照的だなと思いました。ここでいかに日本文化がNYCで人気があるかを紹介しているblog記事を紹介します。コスプレしている米国人の写真がたくさん掲載されています。

このように大人気の日本文化ですが、米国を含めた国外では日本同様に楽しめないという問題があります。ここではコミックを例にあげてこの問題について紹介します。日本と同様にコミックを楽しめないのは「入手が困難」「高価」という理由です。特に「出回る数量が少ない」「なかなか翻訳されない」という要因が「入手が困難」という問題に繋がっています。一例として、私は米国書店のBordersで「時をかける少女」の英語版コミック、Girl Who Leapt Through Timeを購入しました。でも、値段は日本で購入するのと比べると2倍近くしました。そして$10近くするコミックは働いていない学生達にはなかなか購入が難しいと思います。以下、Amazon.co.jpでの価格比較を記します。

そして、この「入手が困難」「高価」という要素がNet上海賊版が出回る事を助長しています。これからどのように海賊版が出回っているか紹介します。次のWebsiteでは英語に翻訳された大量のマンガが掲載されています。私ははじめて教えてもらったときは驚愕しました。週刊少年ジャンプの最新号に掲載されている人気マンガでさえも発売後数日で英語に翻訳されてUploadされます。ちなみに、日本から確認されないようにという対策なのか、Top Pageに直接Accessすると”Onemanga is currently down for maintenance.”となってAccess出来ないようになっています。でも、Webに関する知識が少しでもあれば簡単に突破できるくらいの小細工です。

  • 日本のマンガが翻訳されてUploadされている海賊版Website One Manga.com

なぜOne Manga.comのような有名な違法サイトが野放しになっているのかが私には分かりません。日本で同じ事をしたら即座に閉鎖されるくらいに悪質です。もしこのような海賊版が野放しになっている理由が分かる方がいたらblogへのCommentをお願いします。海賊版は良いか悪いか問われたら「悪い」です。でも、このような海賊版マンガが出回る理由も出版社側は一度考えてみては如何でしょうか。ここに現在未開拓の新市場があると思います。

自分の単行本のタイトルでぐぐったらまとめてzipとかrarとかで勝手にあげられてるとかショボンとするよね発売して1ヶ月も経ってないのに…(´・ω・`)働けど働けどエロ漫画家の暮らし楽にならず Twitterへ

いま紹介した漫画家の発言にあるように、海賊版を野放しにしているだけでは、肝心の利益を享受すべきマンガ家達にお金が行き届く事はありません。出版社としては海賊版が出回っている現状を直視するのは不愉快だとは思いますが、目を背けてはいけない問題です。

ただ海賊版の功罪の功の面に向けると、多くの米国人達はこのような海賊版の普及によって日本文化に親しみを持つようになりました。フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略という書籍で紹介されているように、”無料”が米国人の心を捕らえたのです。無料で出回っている海賊版のおかげで日本文化に親しむ人々が米国にはたくさんいます。こういう事実を踏まえた上で、「入手が困難」「高価」という課題を解決すれば、日本国外にも日本の文化を輸出して利益を上げることが出来ると思います。日本文化が好きで日本語を学ぶ人達がいる、そんな人達に海賊版ではなくちゃんとした製品を届ける方法がないのか。米国で海賊版の横行を目の当たりにして、日本文化をどうやって国外に輸出するのかという課題について色々と考えさせられました。

ではここから「では海賊版対策に何をすれば良いのか」と私が色々と考えている事を記します。ここでも引き続きコミックを例として取り上げます。現在すでにNet上で無料で多数の海賊版が出回っています。これに対抗するには「翻訳の質を上げる」「画質の向上」が有効だと思います。特に「翻訳の質」One Manga.comは素人が翻訳しているので、正規の翻訳本に対してイマイチということを何度も聞きました。そしてまた、素人が画像の読取をしているので画質も粗いです。

これらの改善に加えて、価格はNetに出回っている無料の海賊版に対抗するために抜本的に下げる必要があります。この価格を下げるのにはコミックの電子書籍化という考えが役に立ちます。画像と翻訳の質を海賊版よりも良くした上で、例えばiPad上でマンガを読めるようにする。料金は「500円/月」を払えば登録されているマンガが読み放題というニコニコ動画方式。もしくはiTunesのように「コミック1冊 40円」といった風に抜本的に価格を下げれば海賊版に対抗できます。そしてまた、電子書籍化をすれば翻訳を何度も直す事が出来るので、翻訳の質を劇的に向上させることが出来ます。無料の海賊版に対抗するためにはこれくらいに抜本的にやらなければ太刀打ち出来ません。ただ、これをするには出版社の構造自体も大きく変えないといけないでしょう。日本における現在の電子書籍をめぐる攻防を見ていると難しいだろうなとは思います。

ここで問題点を1つ挙げるとiPadは規制が色々と厳しいです。日本のマンガがそのまま配信出来ない恐れがあります。有名なコミックの働きマンが配信拒否された件についての記事を参考にしてください。

でも、iPadが駄目ならAmazon、BordersBarnes&Noble、SONYと電子書籍の端末を扱っている競合に当たれば良いのです。日本のマンガというキラーコンテンツを持てば競合に一気に差を付けることができるので、いずれかの企業からは必ず歓迎されるはずです。ハリウッド映画に並ぶマンガという世界最強のコンテンツを有する日本の出版社が、電子書籍化にもっと積極的かつ戦略的に乗り出せば、現在の電子書籍市場を席巻出来るのになと歯がゆく思っています。

ここではマンガの事例を紹介しましたが、アニメについても同様です。アニメも現状海賊版の横行が酷いです。戦い方としてはマンガと同じように電子端末上での配信・再生を軸とした戦略を取れば戦えるはずです。そしてまたコンテンツ販売以外の利益を挙げる方法を考えると、グッズの販売やNYCのコスプレイベントのような企画です(他にも色々とありそうです)。情報の価格が限りなくゼロに近づく時代、書籍フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略で紹介されているような時代においては、新しいお金儲けの仕組みが必要です。

さらに過激なことを考えると、もういっそのこと無料でコンテンツを配信してしまって、寄付に頼るというのもありかもしれません。素晴らしいコンテンツを無料で楽しむのを申し訳なく思って、お金を寄付したいと思う人はいますから。去年お台場の実物大ガンダムを見るためにわざわざ来日した外国人達、そしてNYCのコスプレ大会ではしゃいでいる米国人達を見て寄付に頼るのも可能かなと思いました。ただ、寄付を推進するためには未成年がお金が払いやすい仕組みが必要です。クレジットカードに変わる新しい決済の方法を構築しないといけません。

私は大金持ちになったらお気に入りの小説「アイの物語」を自分でお金を出してAudiobookにしたいとずっと思っていました。こういう風に文化に投資したいと思う人達はいるので、彼らから寄付を募る仕組みも海賊版対策と並んで有効です。ちなみに「アイの物語」は来年英語版のAudiobookが発売されるので、私はいまとても幸せです。だから先程の文章は過去形で書いたのです。「アイの物語」、特に作中の「詩音が来た日」はここ10年で読んだSF小説の中で最も素晴らしい物語だったので、未読の人は是非とも読んでみて下さい。以下に「アイの物語」日本語版、英語版、Audiobook版の一覧を紹介します。

現状の仕組み/制度を一度全部捨てて考えてみれば、海賊版に対抗する方法は色々とあります。素人の私が考えてもこのように色々と出てきたので、本職の人達には是非海賊版に負けない新しいビジネスモデルを作っていただきたいです。そして、日本文化をより多くの人達、多くの地域に届けてほしいです。この記事最初に書きましたが、日本文化に親しんだ人達は極めて親日的になります。アニメ・コミック・ゲームを普及させることは外交官100人を新規に雇うことより効果的かもしれません。だから海賊版が横行している苦い現実から目を背けること無く、業界関係者には業界の将来のために海賊版と戦ってほしいです。

この記事を書くに当たって参考にした書籍

ちなみにこの英語版書籍のAudiobookはiTunesで無料で公開されています。書籍の名前で検索すればすぐに見つけること出来ます。お勧めです。