日別アーカイブ: 2010年5月19日

2つの国をつなぎ、国を豊かにする移民たち

この記事では「移民が国を豊かにする」という事について紹介していきます。移民の第1世代は先程の記事、「多国籍・多文化のNew York。そして英語ができない移民たちの暮らし。」で紹介したように、非常に苦労しています。でも、そんな親と一緒にいる子供たちと接すると希望が湧いてきます。幼い子供たちが立派に英語の通訳をしている光景には、頼もしさすら感じます。

New Yorkの移民2世達の多くは親の言葉と英語を話すことが出来ます。そして、私が知り合った優秀な米国人の多くは移民2世、3世でした。彼らは米国に量り知れない豊かさをもたらしています。ここで私の友人、中国系米国人のNoahを紹介します。彼の一族はいま200人は米国にいます。

この記事を書いた際に「中国人が日本でこんなにも増えるなんてまっぴらゴメンだ。移民なんか絶対反対だ。」というReplyをもらいました。その人はNoah一族が米国にどれだけの富と豊かさをもたらしているか知らないのでしょう。Noah自身は数学・物理・Programmingで極めて秀でた才能を持っています。また、一族の他の人々も、特に米国育ちの子供たちは高学歴で極めて優秀です。

移民1世は豊かさを求めて米国にやってきます。そして、彼らが定住した場合、子供たちは米国で育ち、米国人になります。その子供たちに適切な教育を施せば、子供たちは米国に豊かさをもたらし、かつ彼らの親の祖国をつなぐ人間になります。移民が国を豊かにするのです。私が最も尊敬する米国人の1人、Michaelも移民2世です。以下、Michaelについて過去に記した記事一覧です。

日本はこれから人口が減っていきます。人口が激減すれば、内需が期待できなります。また、国際競争力が低下し、経済活動も縮小していきます。そして経済はもちろんですが、文化も衰退していきます。日本人の人口が減り、日本語を話す人数が減っていけば、文化も衰退するのです。

もし日本社会が移民を受け入れて、そして移民が日本文化に愛着を持てば「日本が好きな外国人」が増えます。そして、日本の文化を担う人々の数が増えれば、日本文化は将来も続くのです。移民は日本文化の担い手になるのです。移民受け入れ反対と言って日本文化の担い手を増やすことなく、日本文化が徐々に死んでいくのを見るのは私は嫌です。

米国は常に移民を受け入れ、そして彼らを教育することで、経済の面・文化の面で国を豊かにしています。私は実際に移民2世、3世達がどれだけ米国に豊かさをもたらしているか目の当たりにしました。例えば、The Manhattan BridgeのManhattan側すぐ近くにある公園、ここでは中国人の子供たちが多く遊んでいます。この公園では広東語が主に話されています。この公園で遊ぶ子供たちが将来英語を話せるようになるのを私は知っています。そんな彼らが米国に豊かさをもたらすのです。

日本でも将来この公園で見られたような光景を見ることができるのか。将来日本を理解する日本人以外の人たちが増えるのか。それとも日本は日本人の血を引く人間しか日本人として認めないままなのか。もし後者を選んだ場合は日本は現在のような経済も文化も失っている事でしょう。あなたはどちらの未来を望みますか。以上で「2つの国をつなぎ、国を豊かにする移民たち」の紹介を終ります。

追記

この記事をTwitter上で書いた際には様々なReplyをもらいました。以下、それらReplyを受け取った私が思ったことを記します。

留学生/移民で現地の言葉に堪能で、失敗を恐れなくて、そして自分とは異なる人たちを恐れない人たちは積極的に色々な人たちと交流出来ています。逆にこれらが出来ていない人たちは自国民とだけ群れます。これは日本人を含めた全ての民族共通です。こういう生き方ももちろん認められるべきだとは思いますが、私には何とももったいない生き方に思えます。自分にとって親しみのない事は視界に入れたくないという生き方を私はしたくないです。例えるならば、日本の料理しか食べない人生と言っていいでしょうか。

また、移民の話を出すと「外国人犯罪が増える」「他国で問題発生している」「まともな移民の入国審査なんて出来ない」といった否定論を山ほどもらいます。じゃあ、犯罪の統計資料を当たって、どういう外国人が犯罪を起こすのか調べて、そういう人たちが入ってこない仕組みを作れば良いのです。他国が失敗しているのなら、その失敗事例を参考にしてより良い案を出せば良いのです。現状の入国審査が駄目なら、それを改めれば良いのです。曖昧な感情論で反対するのではなく、具体的な統計資料や過去の政策を元に考えましょう。調べることなく、感情論だけで何かを否定するのは知的に怠惰です。そしてまた、ここで私のお気に入りのSF小説からお気に入りの言葉を引用します。「否定材料ばかり持ち出すのは、やろうとしてない証拠です!」。

私は日本人以外の人達と一緒に働くことがどれほど豊かさをもたらしてくれるのかを知っています。そしてまた、日本人が日本人以外の人達を排除して働く事の弊害も知っています。だから日本人以外の人達と働くという選択肢を放棄している人達はなんとも勿体無いことをしているなと思います。

そして、まずは移民たちにとって魅力的な国を作るためにも、日本人の成人男性以外の日本人もちゃんと働ける社会を作ることが必要です。また、移民たちが来日した際に適切な受け皿、彼らの子供がちゃんとした教育を受けられるような体制を作らないといけないです。問題は山積みです。でも、面倒だからと言って目を背けて現状にしがみつくだけの人間には私はなりたくないです。

この記事を書く際に参考にした資料

以下書籍で大量の移民受け入れの利点について紹介しています。

多国籍・多文化のNew York。そして英語ができない移民たちの暮らし。

この記事では「6カ国が公用語だった私のIntern先」の紹介を通じて、「多言語・多文化のNew Yorkで生きる移民たち」を紹介します。

私がお世話になったIntern先では英語の出来ない移民達が多く事務所を訪れてきました。そして、英語が出来ない彼らと意思疎通をするためには、彼らが話す言語を使う必要がありました。そして、事務所の公用語は6カ国語でした。

  1. English 英語
  2. Spanish スペイン語
  3. Arabic アラビア語
  4. Bengali バングラデシュ語
  5. Mandarin 中国語(普通語)
  6. Cantonese 中国語(広東語)
  7. Ebonics(黒人英語)

言わなくても分かるとは思いますが、私はこの中では英語しか理解できません。また、7番目にEbonics(黒人英語)を付け加えました。これは黒人の、特に貧困層が話す独特の英語です。もはや英語とは別の言語のように思えます。私はほとんど理解できないです。

そんな事務所なので、電話を取ったらSpanish、Arabic アラビア語、Cantoneseと一言も理解できない言語で話しかけられることもけっこうありました。音の響きで区別はできるようになりましたが、いまでもこれらの言語はさっぱり分かりません。事務所のボランティアにはこれらの言語が分かる人達の連絡先があるので、彼らにお願いして通訳をしてもらっていました。でも時には通訳ボランティアと連絡が付かない場合は、英語で説明していましたが…おそらくあれは伝わっていなかったな。中には簡単な英語もまったく使えない人がいて、その時には身振り手振りで意思疎通をしました。悪夢のような時間でした。

簡単な英語すらも分からずに、事務所に来るたくましさには感心します。でも、New Yorkに住んでいるのなら基本的な英会話くらい覚えてほしいなと思います。しかし、おそらくそういう人達は新しい言語の習得方法を知らないのでしょう。だから何年もNew Yorkに暮らしていても英語が全くできるようにならないのです。

そしてまた、米国に長期間滞在している移民たちは子供がいる場合には、子供たちに通訳をしてもらいます。子供たちは米国で育ったので英語と親の言語を双方話すことが出来ます。ある時には事務所にメキシコ人の親子が来て、小学生くらいの女の子が親の通訳をしたこともあります。その女の子が待ち時間中に退屈だったのか、ゲームボーイでポケモンで遊んでいたのが印象に残っています。国を越えて日本文化は人気があるのを目撃した瞬間でした。閑話休題。

貧しくて教育を受けていない移民たちは、英語力が通常とても乏しいです。何年もNew Yorkにいてもほとんど英語を話せない人は大勢います。New York市における識字率を調べたところ、2割が「署名を書ける」「駅の標識を読める」という程度の英語力でした。これはNew Yorkerの4割近くが外国生まれで、5割近くが家庭で英語以外の言語を話すという背景があります。

New Yorkにいる日本人もけっこうな割合の人達が英語がほとんど出来ません。そういう人達は日本人同士で群れて行動して、普段はほとんど英語を使いません。でも、これは日本人だけの話ではありません。他の民族も自分達と同じ民族の人達とのみ交流している人達は多いです。だから何年もNYに住んでいるのにほとんど英語を話せない人、簡単な英語すら話せない人は本当にたくさんいます。特に中国人の場合は40万人もNYCにいるから、別に英語を全く使わなくても生きていけます。彼らが集まる中国人街には全てが揃っているので、そこから出ることなく生きていく事も出来ます。

英語が出来なくてもNew Yorkで暮らしていている移民達、そういう人達でも時には法律違反で咎められることがあります。そういう人達がIntern先の法律事務所に訪れてきました。英語が理解できないとどれだけ悪い事態を引き起こすのか、私は本当にたくさんの事例を目の当たりにしました。英語が理解できない移民たちはたいていどうしようもない事態になってから、法律事務所を訪れてきます。

一例を挙げると、警察官から違反切符を切られます。この違反切符はたいてい警察官の手続きが間違っているので、ちゃんと裁判所で抗議をすれば不成立になる事が多いです。法律に詳しくない警察官が違反切符を切るので無効な事が多いのです。でも、英語ができない移民たちはこの事実を知らずに、違反切符をもらっても不適切に処理することが多いです。例えば、移民たちが裁判を欠席すると、自動的に警察官の言い分が100%通ります。その場合、最高額の罰金と、悪い場合には刑事罰が罰が科されます。こういう基本的な裁判の手続きを知らずに多大な不利益を被ったたくさんの移民たちを私は知っています。こういうにっちもさっちも行かない状態になってから、事務所を訪れる移民たちは多かったです。些細な違反にも関わらず、彼らは適切な手続きを知らなかったために数千ドルの罰金を払わなければならないのです。貧困層に属する彼らがこの罰金を払えるとはとても思えません。高額の罰金を払わざるを得なくなり、そしてその後事務所に現れなくなった移民たちの行く末を考えると暗い気持ちになります。

他には裁判所に来て自分の裁判に出廷したけれど、裁判官や周りの人達が英語で話しているため、何を言っているのか全く分からず狼狽しているだけの中年女性もいました(この日はたまたま通訳がいなかったのです)。結局、彼女は自身の裁判で何が行われているか分からずに、裁判が終わったと同時に言葉が分からない恐怖から泣き出してしまいました。英語が分からないことで起こった悲劇の一つです。

他にも英語が出来ないために酷い境遇に陥っている人々はたくさんいます。例えば、英語が出来ない移民たちは通常言葉が通じる同郷の人々を頼ります。しかし、そこでさらに悲劇に襲われることもあります。英語が出来ない移民が同郷の人に頼って仕事を得ます。そこはたいてい労働環境は劣悪です。英語が出来ない移民たちが他の職場を選ぶことができない弱みにつけこんでいるのです。そしてそんな職場でもし問題が発生した場合、ボスはすべて従業員に問題を擦り付けます。全く彼らを助けません。トカゲの尻尾です。弱者が弱者をさらに食い物にする。そんな構図を何度も見ました。

この構図は日本人にとっても他人事ではありません。私は留学期間中は人種差別をほとんど全く経験しませんでした。でも、数少ない経験例は日本人からの「差別」です。海外で日本人が最も気を付けるべきは「日本人」です。この事は肝に銘じておいてください。海外ニートさんもこのblog記事中で英語が出来ないという点につけ込まれて、劣悪な労働条件を押し付けられていました。

特に英語が出来ない日本人は他の選択肢を選べないと見なされて、他の日本人から弱みにつけ込まれます。金銭に関わる場合にこの事はたびたび発生するので、気をつけてください。英語が出来ないと本当にひどい目にあいます。最も酷いのは同郷の人々、私達の場合は日本人が最も酷い事するのです。

以上、多国籍・多文化のNew York。そして英語ができない移民たち暮らしの一面を紹介しました。この話題は暗い話題だったので、次の記事では希望の持てる話題、「2つの国をつなぎ、国を豊かにする移民たち」について紹介していきます。