日別アーカイブ: 2010年5月27日

New York地下鉄~そこで生きるたくましい人々~

車社会の米国においてNew Yorkは地下鉄・徒歩で移動する珍しい都市です。そんなNew York地下鉄をこの記事で紹介していきます。

東京ほど複雑ではありませんが、New York市は地下鉄があります。この地下鉄は日本の電車とは色々と違って面白かったです。まず電車の中はみなが黙って目的の駅につくまで待つ、ということはありませんでした。New York地下鉄は携帯電話は鳴りたい放題です。「電車内で携帯電話はマナーモードにしなければならない」というのも日本ならではの変わった風習だと私は今は思っています。別に携帯電話が大音量で鳴るくらい大したことないのに、なぜ日本人はそれほど気にするのかと不思議です。

他にも日本ではありえない光景の一つは「電車内にホームレスが乗り込んできて金銭の施し」を求めることです。「私は失業者でホームレスです。昨日から何も食べていません。1centでも良いので施しをお願いします」というような寄付依頼はほとんど毎日遭遇しました。ホストファミリーからは「ああいうホームレスにはお金を絶対にあげないこと」と言われていました。それはNew York市がホームレス対策をちゃんとしているからお金を個別にあげる必要はないからです。そしてもしお金をあげてもたいてい酒か麻薬になってしまうそうです。私は地下鉄に乗り込んできたホームレスには一度も金銭をあげた事はありませんでした。でも、周りをみるとけっこう小銭をあげる人はいました。この小銭集めを1日やればかなりの金額になると思います。

ホームレスにお金を上げたことはありませんでしたが、私は別の人には何度かお金をあげたことが有ります。はじめてお金を挙げたのは帽子から鳩を出す「手品師」が電車に乗り込んできた時です。まさか電車の中で手品を見ることになるとは思わなかったので、とても驚きました。彼の手品は面白かったです。他には音楽を演奏する人達もよく電車内や構内にいました。南米の伝統音楽を奏でる人達、中国の胡弓で演奏する人、キーボードで演奏する人など様々な人達がそこにはいました。お菓子や小物を売っている人達、宗教の勧誘ビラを配る人達、そしてまた10代の少年たちが大音量のBGMを背景にストリートダンスを電車内で踊っていたこともありました。少年たちはダンスで小銭を集めてうまく小遣い稼ぎをしていました。なかなかたくましいです。こういう環境だとNew York地下鉄は治安が悪いのかと思うかもしれませんが、その点は大丈夫です。3万人の警察官、NY市警の3分の1の警官が地下鉄内を巡回して治安を保っています。常に一つの電車に最低一人の警察官が常駐しています。こういう混沌としたNew York地下鉄を体験してきたので、日本のようにみな整然としている電車内が今は逆に不思議です。

そしてまた、私はNYのホームレスのたくましさにある種の感銘を受けていました。失敗したことは恥ずかしいこと事として黙って死んでいく日本人よりは、失敗してどん底にいてもこうやって電車に乗り込んできて金銭をせびる彼らの方がよほどしぶとく逞しいと思います。そしてNew York滞在中に私は地下鉄が人身事故で止まったという話は聞いたことがありませんでした。毎日のように首都圏で人身事故という電車飛び込み自殺が頻繁にある日本社会は病んでいると思います。今もし私がどん底に落ちたら、電車に飛び込み自殺をするよりはNew York地下鉄のホームレスのように電車に乗り込んで金銭をせびってでもしぶとく生きる選択をします。黙って死んでいくのはまっぴらゴメンです。彼らのたくましさを知ってからはそんなことを思うようになりました。