日別アーカイブ: 2010年5月28日

米国体験記あとがき 私に足りなかったのは「英語力」と「動機」

この記事は「米国体験記」のあとがきです。なぜ私が一連の記事を書き続けたのかという背景を紹介します。

最初に一つ昔話をします。私は学部から英語で教育が受けられる、留学生が学生の半分を占めるという先進的な大学に通っていました。マスコミにはいつもとても好意的に取り上げられる大学です。しかし、その大学を卒業した時点での私の英語力はたいしたことがなく、卒業後初めて受験したTOEICは「わずか630点」でした。TOEIC受験者なら分かると思いますが、この630点ではほとんど満足に英語で意思疎通なんてできません。また在学中に友人となった留学生はほとんど全員が日本語が流暢な留学生達ばかりでした。つまり私はせっかくの環境、英語で教育が受けられるという環境をほとんど活かせなかったのです。当時の私には「英語力」「動機」という2つのものが欠けていました。だから英語で教育が受けられる環境を活かすことが出来なかったと今なら分かります。この「英語力」「動機」について順番に説明していきます。

まず「英語力」について。その大学は英語で講義が受けられると言っても、問題が一つありました。抜け道として「日本語」でも講義が受けられるのです。つまり2つの言語が同時に併存していたのです。このように2つの言語で講義が存在する状況においては、受験英語の勉強しかしていない日本人学生は日本語で行われる講義を受講します。「英語で講義を受けられるよ、さあどうぞ」というだけでは大多数の日本人学生は、英語講義ではなく日本語講義を取ります。日本語と英語の二ヶ国語教育を掲げるその大学に通う日本人学生達ですらそうでした。日本人学生たちが英語で行われる講義を受講出来るようにするためには、従来の学校英語教育が教えている「読む」だけでは全く不十分です。学生たちが英語で講義を受講するためには「聞く」「話す」「書く」といった従来の学校教育で学べない英語力を身につけさせる必要があります。だから、「聞く」「話す」「書く」ための英語力を身につけさせずに日本人学生達を放り出せば、みな英語を避けて日本語講義を受講するのは必然です。実際、帰国子女達や留学経験者、またごく一部のものすごく熱意のある学生しか英語で開催される講義を受講する学生はいませんでした。私自身も自身の専門である英文会計の科目以外は最低限の英語講義しか受講しませんでした。

大学の卒業基準を見ればこの事を裏付ける事実がすぐに分かります。もし本当に英語で教育を受けられることの恩恵を日本人学生達が受けているのなら、卒業基準に「TOEIC 860点以上必須」という英語を十分に使いこなせるという証となる基準を明記しても何もおかしくないです。しかし、私が通った大学をはじめほとんど全ての「国際~学部」ではこの基準を明確にしていません。秋田県にある国際教養大学のように「TOEFL 550点必須」「留学必須」という具体的な基準を掲げている大学以外は、その「国際~」という看板は見掛け倒しである可能性が大いにあります。

上記のような背景があるため、大学キャンパス内では学生は「日本語基準」「英語基準」の学生でそれぞれ別の集団を形成していました。同じ大学にいるにも関わらず、話す言葉が違うためほとんど交流が行われないのです。私たちはよくお互いの事を”Hello, Hi Friends”、つまりお互い挨拶だけの関係と言っていました。大学キャンパス内では一見すると、多様な人々が交流しているように見えます。でも、実際は「日本語基準」「英語基準」の学生達が一部を除いてほとんど交流がないことは分かる人にはすぐに分かります。日本語と英語という話す言葉の違いによって学生達は2つの集団に別れてしまったのです。これはなんとも悲しい光景です。いま思い出しても悲しくなります。そしてまた、今もその大学の卒業基準は変わっていないからおそらく状況は私がいた頃と変わっていないでしょう。こういう状況では留学生達が果たして日本人学生たちの事を好きになる、尊敬するということはありえるのでしょうか。英語基準の大多数の留学生達は、英語が話せず身内同士でしか交流しない日本人学生達に良い印象を持たずに大学を卒業していったと私は思っています。

この大学時代の苦い過去が「実用的な英語を習得する方法」を書く執筆動機の1つとなりました。受験英語しか知らない日本人を英語環境に放り出しても、すぐに適応できる人間はほとんどいないことを私は自身の経験から知っています。だから「聞く」「話す」「書く」を身につける事が出来る英語学習法を書かなければいけないと痛切に思っていました。

もう一つ当時の私に欠けていたのは「英語学ぶ動機」です。私は大学在学中はあえて英語で講義を受けることの利点を把握していませんでした。日本語で学べるのだから、別に苦労して英語で学ぶ必要はないだろうと思っていました。しかし、私はこの時点では次の2点の利点を見逃していました。

英語で蓄積されている知識の量は日本語と比較して圧倒的です。インターネットの世界を見てもそれは明らかです。また、英語を使えば日本人以外の14億人、英語を公用語としている約80カ国と交流することができます。この事の重要性を当時の自分はちゃんと理解していませんでした。私はNew Yorkで過ごした7ヶ月間で、日本人以外の人達と交流して人生観が変わるくらいの体験を何度もしました。もし大学時代に英語を十分に使いこなせれば、このNew Yorkの7ヶ月と同様かそれ以上の驚きの経験を数多くすることが出来たと思います。日本人以外の人達と接すれば、本当に多くの発見があります。ただ、大学時代の私は「英語力」と彼らと接したいという「動機」がなかったので、こういった機会を見逃していました。英語を使って日本人以外の人達と交流をすれば、本当にたくさんの発見が出来る。それを私は「米国体験記」で紹介したかったのです。そして「米国体験記」を読んだ人が「英語を勉強する動機」を持つ事になることを私は望んでいます。これが「米国体験記」の執筆動機です。

「英語で蓄積されている知識の量は日本語と比較して圧倒的」という事について実例を出して紹介すると、今日もThe World BankのWorld Development indicators、各種統計資料が上手く使いこなせない事にイライラしていました。日本語で探すよりも英語で探した方がこういった統計資料ははるかに見つけやすいのです。英語で政治経済を学んでいればこの統計資料もすぐに使用できたのに…と昔を思い出して歯ぎしりしていました。英語で書かれた資料は日本語よりもはるかに多いです。しかし、私は日本語で学問を学んできたため、これら資料を上手く使いこなせないのです。

ここからまとめです。いま思うのは私が通った大学は日本の将来の一つの姿かもしれないということです。仮に日本に将来他の国の人達が来ても、「語学力」と「動機」がない人達は自分たちと同じ日本人としか交流しないでしょう。同じ場所で暮らすのに交流がない。だからお互いを尊敬することもなく、悪い場合には敵対意識を抱いて、排斥をする恐れもある。もし何も状況が変わらないのであれば、私はたぶんそうなるだろうなと思っています。私はそうなってしまうのが嫌で3ヶ月間を使って、一連の記事を書き上げました。

もし20万円もあれば、私が最近ずっと紹介し続けていたNew Yorkに1週間くらいの旅行はすぐに出来ます。でも、この選択肢を選ぶ人は少ないでしょう。それは「英語力」「動機」がないからです。そういう人達には私のblogを読んで、日本国外に目を向けるきっかけをもってほしいと思っています。また「米国体験記」に書いているように、私はたった7ヶ月のNew York生活でもここまで面白い経験が出来ました。もっと長期間いればさらに面白い体験が出来たと思います。きっと4年間の学部生活、2年間の院生活、駐在員として数年間を海外で働く、またもうすでに日本と関係がない海外企業で働いている人達は私以上にもっともっと面白い体験をしていると思います。そして近い将来、今度は私がそういったみなさんの体験記を読む側になりたいと思っています。以上でこの3ヶ月書き続けた「実用的な英語を習得する方法」と「米国体験記」は今夜でこれで一端終りです。ここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございました。

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追記

最後にもう一度だけ紹介しておきます。

TOEIC860点を取得、かつ日本の英語教育で欠けている「話す」「書く」ための英語学習方法を紹介しています。私が数百万円の費用と数年の歳月をかけて学んだ学習手法を公開しています。※この勉強法ははてなブックマークを2,190以上獲得した人気記事です。

私が米国での体験で体験した、日本人が知らない「とんでもないこと」を紹介しています。日本人とは全く異なる米国で出会った人々の生き方を知ればきっとあなたも驚くと思います。そしてこれまでになかった視点で物事を考えることが出来るようになると思います。

Matthewと教育熱心なユダヤ人達

この記事では「教育熱心なユダヤ人」を紹介します。私はInternship中に弁護士の卵達と接していて感じたことは、彼らは勉強だけが出来る訳ではなく多方面に渡って優れているということです。彼らはスポーツ、音楽、料理など多くの社会的背景の異なる人達と接するのに役立つ社交的な教養や能力を備えていました。先日紹介したDinahもそうでした。彼女も勉強が出来るだけではありませんでした。スポーツ・音楽という多彩な趣味を持っており、色々な人達と交流していました。

今夜紹介するのはもう一人のIntern、ユダヤ人のMatthew。彼もまた勉強が出来るだけでなく、本当に色々な特技を持っている弁護士でした。Matthewも大学時代に飛び級しているため普通の人より1年早く弁護士になりました。大学で講義を受けるのは楽しかったと言っていたから彼は学ぶことが好きなのでしょう。また、彼はハンサムではないけど、気さくで表情が愛くるしいが素敵です。そして私がInternの中で最も仲良くなったのはMatthewです。彼とはよくManhattanのRestaurant巡りをしていました。Matthewの親族は敬虔なユダヤ教徒でしたが、Matthew本人は別にそこまで熱心な信者ではなく見た感じ普通の人です。ユダヤ教徒と言っても色々とあるようです。

Matthewと接していて感じたのは「ユダヤ人が教育熱心な民族であるというのは本当だった」ということです。一例を挙げると、彼は3歳の時からバイオリンを習い始めたそうです。この事からも親の教育熱心さが分かります。また、現在は高校生の時から始めたギターを楽しんでいるそうです。他にもバスケットボールもします。Matthewは勉強が出来るだけの面白みのない秀才ではありません。

ユダヤ人の彼は移民2世です。彼の母親が欧州から祖父母を伴ってNew Yorkに来ました。また、ユダヤ人はNew Yorkでは少数民族ですが、例えば法曹関係者ではユダヤ人では多数派の一つです。ユダヤ人は高学歴な人達が多いのです。ユダヤ人は少数派で昔から住む国を替える必要があったから優秀でなければならなかったという話しを聞いたことがあります。ずっと島国にこもっていて国を替える必要の無い多くの日本人にとっては、このユダヤ人達がもつ「学ぶことの熱意」には圧倒されるはずです。彼らのような生きることに貪欲な移民達に接すると人生観が変わります。

Matthewの話に戻ると、彼は料理、特に東洋の料理が大好きでいつもその話をしていました。また、料理に関してはとてもとても記憶力が良かったのを覚えています。New York中のRestaurantを熟知しているのではないかと思うくらいの記憶力の持ち主でした。料理の話は老若男女を問わずに通じる多くの話題です。Matthewはこの料理の話を通じて、多くの人達と仲良くなっていました。難しい政治経済、最新科学の話題よりも、こういう万人に通じる話題に詳しい方がより多くの人々と仲良くなることが出来ます。普通の人が想像する以上に、料理の話が出来るということは有益な能力です。

またMatthewも意外な事にかなりの親日家でした。任天堂が大好きで、ギターでマリオやゼルダの曲を奏でているそうです。特に「時のオカリナ」を愛していると言っていました。任天堂の本社が京都にあると言ったら、死ぬ前に一度は京都に行かなきゃと言っていました。あとMatthewは日本酒と日本のビールが大好きでした。どの地ビールか忘れましたが、わざわざ輸入して楽しんでいました。また、Matthewと何度か食べ歩きをしている際に、彼が一緒に暮らしている年上のユダヤ人の彼女も来ました。彼女は日本語を4年間学んでおり、新潟県の国際大学へも数カ月の留学経験があるとのことです。彼女はモスバーガーが恋しいと言っていました。けっこう色々な場所に親日家はいるものだなと思いました。

MatthewはInternが終わった後、就職する前にタイかベトナムで食べ歩きの旅をすると言っていました。彼には日本にもいつか来るようにと言っておいたので、彼と再会できる日を私は楽しみにしています。