この記事では米国滞在中に私が出会った最も面白い人物の一人であるHost Familyのお父さん、Michaelについて紹介します。これから紹介する彼についての一連の記事は普通の日本人にとってはきっと「とんでもない考え」に思えると私は確信しています。
MichaelはプエルトリコPuerto Ricoからの移民2世で黒人です。Michael、通称”Angel”は学位を3つ持っています。以下、Michaelが持っている学位です。それぞれについてこれから順番に説明していきます。
- “Communication”
- “Accounting(会計)”
- “Programming”
私が米国にはじめて着いたとき、Grace(Host Familyのお母さん)が迎えに来てくれました。そしてJFK空港から自宅までの車内でGraceのBrooklyn訛りを持った英語は半分くらいしか分からなくて、さっそくCulture Shockを経験してちょっと落ち込んでいました。Brooklyn訛りというのは、早口で音がところどころ省略されている英語で、日本で通常聞く「きれいで明瞭な英語」とは程遠い英語です。その後一緒に暮らしている内にほぼ100%理解できるようになりましたが、初日は自分の英語は米国では通用しないのかと暗澹たる気持ちになりました。その後、Brooklynの自宅に付いてから、Michaelに挨拶しました。Graceの英語とは異なり、彼の英語ははじめからとても分かりやすかったです。これは後で知ったのですが、大学時代にRadioのDJをしていたそうです。だから聞き取りやすい明瞭な英語を話すのに慣れているということでした。これは最初の学位の”Communication”を専攻していた時に習得した技能でしょうね。また、MichaelはもともとRadioのDJをしていたような人なので非常に気さくで笑顔が素敵な人でした。
Michaelの職業はComputer Programmerです。そしてそんな彼の職業は職場での呼び名は”Angel”です。これは冗談じゃなくて、もらったBusiness Card(名刺)にも”Angel”って名前の前にそう書いてありました。昨年暮れに出席したChristmas Partyでは同僚から”Angel”って呼ばれているのを私も聞きました。中にはMichaelの本名を知らずにAngelという呼び名しか知らない人もいたくらいです。役職(部長、課長、係長など)で呼び合う堅い職場よりも、こういう風に遊び心を持って同僚と話せる職場の方が風通しが良くて楽しそうだなと私は思いました。日本においても役職名で遊ぶくらいの心の余裕がほしいなと思いました。もし私が日本の職場で同じことをするのなら「侍大将」とか「風来坊」とかの呼び名をつけて遊んでしまうかもしれません。また自転車好きの同僚が多いのなら”Birdy”とか”Bianchi”とかそんな通り名をつけて遊んでしまうかもしれません。そしてMichaelの”Angel”という通称は、たぶんComputerで困っている人を助けて回ったり、新しいProgrammingを組んで問題を解決するからそういう名前が付いたのかなと私は思いました。
そんなMichaelですが、Computer Programmerをする前は会計の仕事をしていたそうです。”Communication”の学位に関連したRadioのDJではお金にならないから”会計”の学位を取ったという話しを聞きました。しかしMichaelにとって会計の事務仕事が絶望的につまらなかったらしく、本当に仕事が嫌いだったそうです。なんでも会計事務所は「”非効率”の固まり」だと言っていました。そんなときに出会ったのがComputer、とりわけSpread Sheet(Excel系統のSoftware)の効率性にすっかりと魅せられて、三度目の大学入学を決意しました。ちなみに仕事しながらです。またこの時点で娘が3人います。
MichaelはProgramming自体は嫌いだけど、Computerによって生み出される”Efficiency能率”にすっかりと魅せられたと言いました。そしてそこで身につけたEfficiencyで何をしたかというと…
例(1) これまで8時間かかっていた仕事をProgrammingを組んで1時間で終わるようにした。だから当時の職場では1日で1~2時間しか働かなかった。仕事が終わるとすぐに自宅に帰って、家族と昼食を一緒に食べたり昼寝していた。また、新たなProgrammingの勉強の時間に充てていた。
これ日本ではたぶん認められないでしょうね。日本でやると、一人だけ違うことをしていると周りから非難轟々でしょう。
例(2) これまで1年間かかっていた工場の工程管理をProgrammingを使って2ヶ月で済むようにした。
Michaelによると「頭の固い古い世代の説得をするのはメンドくさくてやっていられない。だからさっさと新しいComputer Systemを作って、彼らが従わざるを得ない仕組みを作った。」と誇らしげでした。
このMichaelの考え方は私にも強く影響を与えました。現在、私がblog記事を熱心に書いているのも彼の教えを実践しているからです。私の英語勉強法や米国体験記を一人ひとりに口頭で伝えたら、いつまで経っても終わりません。でもWebsiteにまとめてしまえば、私がいなくても代わりに説明してくれるだろうという考えに基づいて現在blogを作っています。一人に説明するとたぶん6時間はかかります。でもWebsiteにまとめたおかげで、今日(3/29)だけでも1000人以上の人達が私のWebsiteに訪問して、私の記事を読んでいます。Computerのおかげで今はとても楽が出来ています。
Michaelについて続けます。通常IT関係のEngineerというと、Computerと会話をするのは得意だけど、人と話すのは苦手、Businessの話題を理解できないという事がままあるそうです。でもMichaelはCommunicationと会計の学位・職歴を持っているので、普通の技術者とは全然違います。仕事の流れを理解して、Programmingして、そして同僚がちゃんと理解出来るように説明することができます。専門的な能力を3つ組み合わせて、他の人達よりも抜きん出て仕事ができるのです。
学位を3つ持っていることの有利さについてここで一端終わりで、次の記事ではMichaelの言語的な才能について紹介します。Michaelはなんと7カ国語を理解します。
- 追記 Twitter上でこの記事に関して、印象的なReplyをもらったので紹介します。
ある程度の年齢になってからでも、努力して学位を取り、身につけた知識や技能が評価される社会は素晴らしいと思います。ユタの州立大に語学研修に行っていたとき、年を取った学生と知り合いましたが、「子供が出来たから、いい仕事につきたい」として学んでいたことが印象深いです。